その他の環境整備D

足装具簡単整備法・パート1

ちょっと専門的な領域かも知れませんが、知っていて損はないと思いますので
紹介したいと思います。金具修理の応用もききますよ!

プラスチック下肢装具は軽くて装着も楽なので、脳卒中の方を中心によく処方されます。
ただ、長く履いていると装具をつくった時と比べて足がムクんで大きくなったり、または
ムクみがなくなったり、筋肉がついたりなくなったりでサイズが合わなくなってきます。

プラスチック部分があたると、どうしても傷ができてしまうので、狭くなった場合は
ヒートガンというドライヤーの強力なものでアブって軟らかくして広げたりします。
ススがつくこともありますが、急場しのぎでライターでアブり処理することも可能です。
場合によっては削ったり、切り取ったりすることもあります。

今回、紹介するのは「足が痩せてズレが発生し、傷になった」という事例です。

  
↑痛みを訴える場合は、必ず裸足になってもらい装具を装着して確認します。
上の画像では分かりにくいですが、特にぶつかる様子もなくスペースも十分です。
これは隙間がある分、ズレが生じて傷が発生したと考えられます。

そこで以下の部品が必要になります。

↑名前は「カシメ」くん「オス」と、「カシメ」ちゃん「メス」です。
手芸屋さんで売ってます。ホームセンターでも見かけたような・・・。
私は装具屋さんにいくつか貰ってありますのでそれを使います。


↑既についているのを外します。ケガしやすいので注意してください!!
ニッパ(爪切りみたいなの)があると根元で切れて楽なんですがねぇー・・・。


↑ペンチで余分な部分をつぶしながら無理やり外します(ちょっと気合を入れて)。


↑はいっ!外しました。ここまでケガしなくてこれたら一安心です。ふぅー・・・。


↑「カシメ・オス」を内側からベルト(裏表に注意)と一緒にはめ込み・・・・・


↑「カシメ・メス」を外側からしっかりとかぶせます。


↑内側に適当な「当て金(硬くて押さえがきくもの)」を入れてカナヅチでたたきます。


↑こんな感じで完成です。内側からベルトが支える仕組みです。


↑こんな感じになります。見た目にもソフトになったでしょ??
初めっからこうだと良かったのですが、装具というのはそれをオーダーした担当と
装具屋のセンスにかかることが多いので、現状じゃ仕方ないですねぇー・・・。
私なら「芸術」に近いもの?をつくって差し上げることができるのですが・・・残念です。
何たって、脳外科に居た頃は週に5本は普通につくってましたからねー。
装具屋さんには「ドル箱」といわれてました。



※第35回理学療法士学術大会で、オリジナル装具の発表をしたことがあります。
 学会抄録をお持ちの方はP−284をご覧下さい。




                                (介護型リハビリシステム研究所)
ガン! ガン!
影ができる位、
スペースがある↓



 傷跡↓