その他の環境整備【72】
シルバーカーのタイプ(2)
「かいごの学校」1月号と2月号で少し詳しくシルバーカーについて取り上げます。
雑誌の内容は十分に濃いのですが、紙面の都合上、小さくまとまりすぎていて
重要なことであっても、さらっと簡単に流しているように見えてしまいます。
・・・というわけで、その『番外編』としての2回目です。
今回は、一般(介護保険でレンタルできない)シルバーカーの2タイプを紹介したいと
思います。
↑これが一般的なシルバーカー。前列がコンパクトタイプで後列が普通タイプ。
どこら辺が違うかといいますと、まずコンパクトタイプは軽量に小さく作られて
います。その分、小回りもきいて扱いやすいのですが・・・
コンパクトタイプではタイヤ幅(床への支持面積)が狭く、特に横方向が不安定です。
背高ノッポのスタイルですから、カーブなどであまりスピードを出しすぎると、
遠心力で外側へバランスをくずして転ぶ可能性があります。
シルバーカーの特長である腰掛けも申し訳程度で、座面も狭く、肘掛けもありません。
また、立ち上がりで足を引く時に、キャスターが邪魔な位置にあるのも問題です。
↑加えて、コンパクトタイプのタイヤ幅は、立ち上がり時と同様、歩行時にも
足(爪先)と干渉しやすい
・・・という危険性もあります。
(背中が曲がっていたりして、足の位置が下がっている場合は干渉しません。)
【要点・その1】
コンパクトより普通タイプ
が安全。
また前回、前輪が「シングル」のものと「ダブル」のものがあったら、
「ダブル」の方が溝に落ちる危険性が少なくなり、万一の場合も脱出しやすいと
書きました。
↑これはコンパクトタイプの前輪キャスター。
コンパクトタイプには、右側のシングルキャスターがまだまだ多いようです。
普通タイプの前輪は、最近では殆どがタブルですが、シングルも時々見かけます。
↑最近では見かけなくなってきた標準タイプのシングルキャスター。
ある意味レアですが、直進性の高さと低価格でまだまだ根強い人気があります。
↑前回の復習ですが、前輪がダブルなら、前後輪が同時に脱輪した時も
後ろ側を落ち着いて持ち上げれば、比較的容易に脱出が可能です。
シングルはしっかりはまり込むので、焦るほど脱出が困難になることがあります。
【要点・その2】
シングルよりダブル
が安全。
溝
以外にも、屋外で使うことが多いシルバーカーにとって、
更に重要なことがあります。
それは・・・
段差
・・・です!
段差をいかにスムーズに乗り越えられるか?
それによって便利さも増しますし、安全性も違ってきます。
↑このくらい大丈夫と思っても意外に乗り越えられない段差。
当研究所で研究した結果、コンパクトタイプは1cm、標準タイプでも2cm程度の
段差までしか直接的には乗り越えができませんでした。
ちょっとした段差で見た目に簡単そうでも、容易にはいかないのです。
もし、無理をすればケガをしたり、シルバーカーを壊してしまうことになります。
↑コンパクトタイプですと、軽量なのでちょっとハンドルを引くだけで
前輪が持ち上がります。このまま段差越えをしてください。
↑普通タイプ(標準サイズ)はハンドルを普通に引いても前輪は上がりません。
画像のように足でシルバーカーの車軸を押さえてハンドルを引くか、
ブレーキをかけてハンドルを引くと簡単に前輪が持ち上がります。
※ちょっしたコツが必要なので、購入時に操作説明をしてもらった方がいいでしょう。
【要点・その3】
段差越えにはコツがいる。
(指導をする立場にある方は必ず、各タイプを自分で操作・体験してみましょう。)
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【注意】
●当ホームページで掲載している内容は全て参考としてご判断ください。
●掲載内容が操作の全てではありません。あくまでも一部を紹介しています。
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(介護型リハビリシステム研究所)
〜システムでよりよい未来へ〜
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