その他の環境整備【53】

       安全床

 
最近の施設などでは「拘束全廃」「拘束ゼロ」をスローガンに、ベット等で身体拘束を
やらなくなりました。昔のようにベッドや車椅子で身体を固定することはなくなりましたが、
危険性を認識できずに動き出す方が、ベッド下に転倒して骨折し、結果的に亡くなる(※)
というケースも出てきているようです。(※骨折後、寝たきりになり肺炎などの合併症で)

 それら危険な行動をする方に対して、職員の目の届く範囲で監視したり、センサーを
設置したり、様々な工夫を現場では日夜行なっています。

 しかし、それでも「ベッド〜ポータブルトイレ」「ベッド〜車椅子」などを含めた移乗時の
転倒は後を絶ちません。「車椅子整備」であれこれ特集しているのも、それらをなくす為
の1つの活動なのです。事故は起こってしまうと取り返しがつかないので、起こる前に
何かしらの対策を考える必要があります。「ひやり・はっと」の報告書も、起こる前に
何とかする為のツールです。内容を分析して予測・回避しなくては意味がありません。


 ここでは、ベットから床に転倒した(転んだ、滑り落ちた)時のダメージを最小限にする
ために「床」に工夫を加えた・・・という事例を紹介したいと思います。

 予め、危険な行動が予測される方に、「ダメージの少ない床」を準備することによって
最悪の事態を回避することが可能になります。

 この床は某クリニックにおいて見かけたものです。
一見何とも言えない簡単なものですが、よくよく観察するとかなり優れものであった為、
了承を得た上で画像を掲載致します。。




↑ベット脇に置かれたキャンプ用の銀マット、これが以外に凄いんです。


元々、キャンプ用のマットというのは畳んだ時にコンパクト(つまりは薄手)でありながら、
硬い土などの上で楽に寝れるようにクッション性を持たせてあります。
その場で立った時にバランスを崩すような沈み込みもなく、銀マットだからツルツルして
いるかな?と思いましたが、滑ることもありません。汚れも直ぐに拭き取れます。




↑厚みがないので四辺をガムテープで押さえれば段差も殆どできません。
車椅子や歩行車も支障なく出入りできます。つま先かかりも防止できます。


実際に硬い床と比べて見ると、その差は歴然・・・一度お試し下さい。

何より「安価に、簡単に」環境改善ができるというのが良いところだと思います。





                             (介護型リハビリシステム研究所)