その他の環境整備【44】

   シルバーカー修理法

 シルバーカーは安価につくられていることからプラスチックパーツも多く、
一度壊れてしまうとなかなか修理することは困難です。
今回は、ミニシルバーカーのキャスターが壊れてしまった為、歩行し辛くなった・・・
というケースを紹介します。
 一度は「諦めて使う」ことも考えましたが、後日修理を試みて成功しましたので、
この場で取り上げたいと思います。




↑今回のシルバーカーはこのタイプです。片手でブレーキをかけるようになっています。
これは右側にありますので、右手に握力がないとブレーキを十分にかけることができません。
右手握力が弱い方は左にブレーキ位置を変更する必要があります。


  

↑どこが故障しているかというと、片方のキャスターが360度回転してしまう・・・という
ところなのです。正常なもう片方は左の画像のように45度程度しか首を振りません。
片側がクルクル回ってしまうので方向が定まらず歩きにくいとの訴えでした。

   そこで、早速原因を追究します・・・

よくよく調べてみるとキャスターの下にある、プラスチックのストッパーに原因が発見しました。


  

↑正常が左。プラスチックの凸部分が首振りを制限しているのがわかりますか??
右の画像はその凸が根元から折れてしまってありません。原因はまさにここです。
それにしても、すぐに壊れてしまいそうな「ちゃちなつくり」です。

原因はわかりましたが、部品の予備もないので修理は困難と判断しました。
とりあえず、首振りができないように壊れた側だけロック(赤色の部分で固定)して返しました。


          次の日・・・


・・・利用者(オーナー)によると今度は曲がり辛いとのこと。。確かにその通りです。
片側をロック(固定)すると、直進性が高まる仕様(セッティング)になるのですから。。
シルバーカーを買い換えてもらうにも、経済的にやや問題がある方なので何とか修理を
試みることにしました。




↑まずは、折れた部分の根元に慎重に小さい穴をあけます。
もし、ここでフレームと干渉して十分な穴があかないと、ここで失敗となります。
不安は大いにありましたが何とか上手くいきました。




↑次に、あいた穴に細くて長めのネジを締めこんでいきます。




↑ネジの頭がキャスターと干渉するので途中で締めるのをやめます。
とりあえず、これで完成となります。。。


しかし・・・・上手く回転してくれません。抵抗があるのです。

原因がよくわかりません。とりあえず、首振りのレール(溝)を広げてみることにしました。
そのためには、キャスターそのものの分解が必要となります。




↑キャスターの真下に出ている口ばし状の出っ張りをペンチで挟み込むと・・・




↑このように「スポン」と抜けます。




↑レール部分より、ややサイズの大きめのドリル刃で「ぐりぐり」と幅を広げます。

・・・そして、再度試みましたがやはり抵抗があります。

油をさしたり、掃除をしたりしても同じ結果です。。
これでは修理した意味がありません・・・。失敗でしょうか???  ( ̄w ̄;)

更によ〜く観察してみて・・・原因がわかりました!!




↑このネジが悪さをしていたのです。しかも直接的でなく、間接的に。

理由は、ネジをねじ込むと内側にあるプラスチックが膨れ上がり、外側の回転を阻害する・・・
というわけなのです。

  ・・・そこで!!!  d(*⌒▽⌒*)b



↑ネジを1本にしました!!ネジは丈夫な金属なので問題ないでしょう。。(*^▽^*)ゞ
これでスムーズに動くようになりました。解決です!!




無事にオーナーの下へ帰っていきましたとさ。めでたし。めでたし。 ヽ(・∀・)人(・∀・)ノ



シルバーカー(歩行補助車)は軽くて安価である分、耐久性にやや問題があるため、
調子が悪いのを無理して使い続けることは危険ですからやめましょう。
例えばフレームや車軸の錆びた部分が折れて転倒・・・ということも考えられます。
※自治体によっては、高齢福祉課に申請すれば給付してもらえるところもあります。
ちなみに千葉市花見川区では25000円まで可能(収入によって制限あり)だそうです。
給付を受けたシルバーカーは8年(?!)経たないと次のが申請できないそうです。



                                    (介護型リハビリシステム研究所)








完成!!