その他の環境整備【437】
下肢装具の不具合@
〜装具は消耗品、要管理!〜
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「短下肢装具 耐用年数」で検索していただければ、
直ぐに内容を理解してもらえると思いますが、
各種装具にはそれぞれ異なる耐用年数があります。
ベルトや継手に関しては耐用年数はもっと短いため、
個人や家族の管理だけでなく、周囲の専門家などによる
細かなチェックやアドバイスが欠かせません。
とは言え、臨床経験の少ない専門家の場合、装具は
見落としがちの傾向にあるため、ベテランの専門家を
つかまえてアドバイスをもらう方が良いかも知れません。
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↑直接担当しているご利用者様ではないのですが、
たまたま施設廊下での不安定な歩行状態が目に留まり、
直ぐに装具をチェックさせていただくことになりました。。
お話を伺うと、リハビリセンターで5年前に作ったきりとのこと。
耐用年数はご存じでしたが、特に気にかけなかったそうです。
↑まずは足首矯正用ストラップのチェックです。
ベルト装着位置(※)については問題ありませんでした。
(※装着方法は過去何度か取り上げたのでご検索下さい。
→ストラップ形状は矯正目的により異なることがあります。)
ストラップは歩行を安定させるために欠かせないベルトですが、
長期に使っていたため・・・。
↑ベルトで固定しようとしても直ぐにペリッと剥がれます。
↑「直ぐに剥がれるため、今は使っていない。」そうです。
↑拡大した画像になります。
矢印の毛羽部分が全て切れてしまい、くっついても直ぐに外れる状態です。
↑次に発見した大問題がコレです。
底屈方向へとつま先が簡単に下がってしまいます。
短下肢装具の多くは背屈位を保つことで、足の振り出しを良くする
機能がありますが・・・これでは意味がありません。
(ちなみにご本人に撮影協力していただいています。)
さて・・・この原因は何でしょう??
(; ・`д・´)
ここで「ピン」と来るか来ないかは、経験にもよるでしょう。
・・・ちなみに、継手やその角度には問題はありません。
ひょっとして過去にも取り上げたかも知れませんが、
初めての方にとっては衝撃的な画像かも知れません。。
( ̄□ ̄;)!
↑足底部を一部剥がすと、「大きなヒビ」が確認できました。
矢印部分の歪みから、このような「ヒビ」が発生したと思われます。
↑このヒビは左右でつながっていて完全に「割れ」ていました。
歩行による曲げ・ねじりのストレスが長期間蓄積することで、
最終的にはこのような状態になるのです。 ⇒「金属疲労」
こうなると装具による背屈コントロールが急激に困難になります。
初期の歪み程度なら、継ぎ手の角度調整で何とかできますが・・・。
このように完全に割れてしまうと、調整はできません。。
こうなる前に、チェックをして早めに補修/交換すべきでした。
足首のストラップを使わない状態で無理やり歩き続けたのも、
金具に無理なストレスを与えた一因かも知れません。
↑目の当たりにできない方も多いと思うので、アップしました。
これが「鐙(あぶみ)の割れ」です。
(´ ⌒ `)
アブミも困った顔をしていますね。
管理人(筆者)は比較的多くの現場で発見してきました。
とにかく、一刻も早く装具の補修(鐙そのものの取り換え)、
または作り替えが必要になります。
ご本人に説明してお話すると、急に怖くなって歩けなくなった
とのことで、緊急に補修が必要となりました。
次回は、当日行った緊急の対応について取り上げます。。
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杖・装具・車いす・・・いずれも「消耗品」です。
点検整備を怠り、転倒事故を起こして後悔する前に、
普段からきちんと管理(評価)する癖をつけましょう。
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介護型 〜システムでよりよい未来へ〜
リハビリシステム研究所
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