その他の環境整備【23】

    ポジション枕の製作

 今回は「ポジショニング用の枕」製作を紹介したいと思います。
 某病院において長いこと指導していく過程でようやく実用化したものです。

 かなり有効だと思いますので、是非ご参考いただけたらと思います。


ベッドサイドのポジショニングというのは、かなり重要で有効な手段です。
一日一回、専門家がチョイチョイと動かすよりも、残り20数時間の姿勢を何とかする方が
よほど効果が出やすいといえます。

もっとも既に、固まってしまった関節や筋肉を改善するのは専門家でも困難です。
固まらないように、固まりにくくするように姿勢をコントロール(抑制ではありません)する…
そのために、なるべく確実な姿勢でポジショニングしていく必要があります。

一般の枕等でポジショニングするには、厚さに限界があり、凹みも出やすく、コントロールに
限界があります。今回は、拘縮(関節・筋肉の動きが悪くなる)が既に進行中の方に対して、
より積極的なポジショニングを行う目的で開発した、「ポジション枕」を紹介いたします。


【準備するもの】
タオルケット(ボロ布でも何でもよい)・クッション(スポンジ)・紐・布など・・・




↑タオルケットを畳んで丸めて、スポンジで巻いて紐で縛るとこうなります。
大小2個あります。直径は左が30cm、右が20cmです。
このくらい思い切ったサイズでないと、思い切ったポジションはとれません。



↑布を袋状にして、それで覆うとこうなります。
寝袋の袋を想像してください、形状はそれとそっくりです。
(封筒型寝袋では、ブランドと安物ではこの位厚さが違います。余談ですが・・・)
袋状にするのは、汚れたときに直ぐに外して洗濯をし易くするためです。




事例1:臀部に床ずれがあり、同時に両膝関節にかなり拘縮のある方です。
この大サイズを両膝の裏に入れることで、両膝関節の伸展と臀部の除圧になります。
このポジションは上体を少し上げることで安楽姿勢に近くなり、心臓の負担も少なくなります。




事例2:股関節が内転し、常に両膝が右方向に向いてしまう方です。
小サイズの枕を両膝の間に挟めて、右側に大サイズを置きました。
背臥位(上を向いた姿勢)がきちんととれ、両膝は重力で伸展されていきます。


・・・以上です。他にも色々使い道があるのですが、紹介はこのくらいにしておきます。
形状も円筒の○(まる)にこだわる必要はありません。可能なら□でも△でもいいんです。
                                      (ネット公開日:2004.12.9)
【注意】
無理なポジショニングは事故の危険性があるので、専門家と相談の上で慎重に対応しましょう。
また、同じ姿勢を長時間とっていると別な拘縮や床ずれを起こす可能性があります。
(少なくとも2時間以上同じ姿勢はとらないよう、十二分に気をつける必要があります。)
「ポジション枕」の厚さは対象者によって調整した方がよい場合があります。
※いつも書いていますが、このホームページを参考に行うことは、自己責任の下で行って下さい。
当研究所はヒントとしての情報提供をしますが、責任は一切とれません。ご了承下さい。


                                     (介護型リハビリシステム研究所)